使役文の作り方・意味・使い方|許可・強制・他動詞的用法を図解で解説【日本語教師向け】

使役文の作り方・意味・使い方|許可・強制・他動詞的用法を図解で解説【日本語教師向け】 レシピ②文型

この記事はこんな先生におすすめ

使役文、“〜させる形”としてだけで教えていませんか?

FOR TEACHERS

✔ 「に/を」の違いをうまく説明できない
✔ 許可と強制の違いがあいまい
✔ 他動詞的な使い方で説明に迷う
✔ 学習者に「なぜこの助詞?」と聞かれて困る

1分で読めるまとめ版

〇使役文=「人が人に何かをさせる」文
例:
エマがピーマンを食べる
→ 母親がエマにピーマンを食べさせる

〇主語と助詞の変化
→ 主語は「させる人(使役主)」に変わる

他動詞の使役
→ 動作主は「に」
(母親がエマに食べさせる)

自動詞の使役
→ 動作主は「を」
(母親がエマを走らせる)

〇使役文の3つの用法
1.許可:
したい人に「いいよ」とさせる
2.強制:
したくない人に「しなさい」とさせる
3.他動詞的表現:
子どもが自分で食べられない
→ 母親がスプーンで口に運ぶ
→ 「させる」というより
使役主が対象に直接働きかけている

〇無意志動詞の使役もある
・花を咲かせる
・食べ物を腐らせる
☞ 意志のないものにも使役は使える
→ これも「他動詞的な使役」

●ポイント:
☞ 誰の意志で動作が起きるか
・許可/強制 → 動作主の意志あり
・他動詞的 → 動作主の意志なし(使役主が直接関与)
☞ 使役文は「〜させる」だけでなく、
・格変化(に/を)
・意味(許可・強制・他動詞的)
・意志の有無
この3つをセットで理解することが大切

基本構造と活用

使役文の基本構造

種類主語ガ格(使役主)二格 / ヲ格(動作主)使役動詞
他動詞の使役母親が(使役主)エマに(動作主)食べさせる
自動詞の使役母親が(使役主)エマを(動作主)走らせる

使役形の活用

使役形の動詞の活用についてはこちらの記事をご参照ください。

使役形の作り方|Ⅰ・Ⅱ・Ⅲグループ別に図解で完全整理|例外・活用早見表付き【日本語教師向け】
グループ別にわかれる難しい使役形の活用。日本語教師向けに図解付きで整理しました。

使役文の作り方と格の変化(他動詞・自動詞)

使役文にすると、文は次のように変わります。

☞ 動詞 → 使役動詞に変わる
☞ 主語 → 新しい人物(使役主)に変わる
はじめの文(能動文)
→ 動作をする人が主語
使役文
→ 「させる人(使役主)」が主語になる

 他動詞の使役文(ニ格になる)

【はじめの文】
エマピーマンを食べます。
【使役文】
母親がエマピーマンを食べさせます。

使役文では、

☞ 主語(母親)=使役主(させる人)
☞ エマ=動作主(実際に食べる人)

です。

そして重要なのはここです。

☞ 他動詞の場合、動作主は「」になる
まとめ
・主語 → 使役主
・ニ格 → 動作主

自動詞の使役文(ヲ格になる)

【はじめの文】
エマ走ります。
【使役文】
母親がエマらせます。

自動詞文で重要なのはここです。

☞ 自動詞の場合、動作主は「」になる

 

まとめ
・主語 → 使役主
・ヲ格 → 動作主

つまり、

☞ 他動詞 → に
☞ 自動詞 → を

この違いが使役文の大きなポイントです。

 

他動詞・自動詞の見分け方についてはこちら

使役文の3つの意味用法|許可・強制・他動詞的表現

使役文は「〜させる」という形ですが、

☞ 意味は1つではありません。

この記事では、使役の基本を次のように考えます。

人が人に行為をさせる
動作主は(程度の差はあっても)意志をもつ

この前提で、代表的な3つの用法を見ていきましょう。

① 許可の使役(やらせてあげる)

例:母親が子どもにご飯を食べさせる

☞ 食べたい子どもに「いいよ」と許可する
ポイント
「したい人」にさせる

② 強制の使役(やらせる)

例:母親が子どもにご飯を食べさせる

☞ 食べたくない子どもに「食べなさい」と強いる
ポイント
「したくない人」にさせる

③ 他動詞的表現の使役(させるというより“してあげる”)

ここまで「許可」と「強制」を見てきましたが、
こんな場面はどうでしょうか。

これも…

母親が子どもにご飯を食べさせる」場面ですね。

でも、これって

許可でも強制でもない場面ではありませんか。

子供が自分で食べられないときですね。

そうです。

この場合、

・子どもは自分の意志で食べているわけではない
・母親がスプーンで口に運んでいる

つまり、

☞ 母親が「ご飯」に直接働きかけている

このときの「食べさせる」は、

「〜させる」というより他動詞のような働きに近いのです。

☞ 「使役」というより、他動詞に近い働き
ポイント
「できない人」の代わりに、使役主が対象(物)に直接働きかける

使役っぽいけど、かなり他動詞寄り」の表現なのですね。

まとめ表

用法意志働きかけ
許可ある(したい)間接
強制ある(したくない)間接(強い)
他動詞的ほぼない直接

無意志動詞の使役|「花を咲かせる」

ここで、少し特殊なケースです。

☞ 花を咲かせる
☞ 食べ物を腐らせる

これらは、

意志を持たない対象(無意志)への使役です。

無意志動詞は「他動詞の代わり」になる

例えば、

☞ 花が咲く(自動詞)

に対して、

☞ 花を咲かせる(使役)

これは、

「花に命令している」わけではありませんよね。

人が環境や条件に働きかけて
結果として「咲く」が起きるのだと思います。

つまり、

他動詞のように使われる使役
ポイント
無意志動詞の使役=他動詞的表現

これは以前、自動詞他動詞の記事でも少しやりましたね。

「他動詞の代わり」の記事はこちら

なぜ「使役」なのに命令できないのか?

☞ 「走りなさい」→ OK(意志あり)
☞ 「咲きなさい」→ 不自然(意志なし)

この違いからも、

意志の有無が使役の本質に関わる

ことが分かります。

全体まとめ
☞ 使役文は「〜させる」だけでなく、
・格変化(に/を)
・意味(許可・強制・他動詞的)
・意志の有無
この3つをセットで理解することが大切です。

1分で読める整理表

使役文の基本構造

種類主語ガ格(使役主)二格 / ヲ格(動作主)使役動詞
他動詞の使役母親が(使役主)エマに(動作主)食べさせる
自動詞の使役母親が(使役主)エマを(動作主)走らせる

能動文⇒使役文の主語と助詞の変化

種類能動文使役文主語動作主動詞の変化助詞の変化
他動詞エマがピーマンを食べる母親がエマにピーマンを食べさせる使役主=母親動作主=エマ食べる→食べさせる「が」→「に」/「を」変化なし
自動詞エマが走る母親がエマを走らせる使役主=母親動作主=エマ走る→走らせる「が」→「を」

意味用法の比較表

用法説明動作主の意志例文
許可やりたい相手に許可するあり母親が子どもにご飯を食べさせる(子ども→食べたい)
強制やりたくない相手に無理にさせるあり母親が子どもにご飯を食べさせる(子ども→食べたくない)
他動詞的表現の使役意志のない対象に働きかけて行為を実現なし母親が子どもにご飯を食べさせる(口に運ぶ)
無意志対象の使役自然現象などを変化させるなし太陽が花を咲かせる

許可・強制・他動詞的 比較表

用法意志働きかけ
許可ある(したい)間接
強制ある(したくない)間接(強い)
他動詞的ほぼない直接

「基本的な使役」と「他動詞の代わりとしての使役形」の違い

用法主な意味働きかける人される人・もの備考
①使役(基本的意味)強制・許可など明確に存在(人など)明確に存在(人など)強い人間関係性や意志を伴う
②他動詞の代わりとしての使役(代用表現)変化の原因明確、あるいは抽象的(自然現象など)に存在もの・事象が多い(自他ペアになる)他動詞がない時に、その意味を補う目的で表現

参考記事

「受身文」の記事はこちら

受身文の作り方と助詞の変化|間接受身までわかる仕組みを解説【日本語教師向け・図解】
「受身って、なんとなくはわかるけど、いざ教えるとなると不安……」そんな日本語教師の皆さんのために、この記事では受身文の基本的な仕組みをイラスト付きででわかりやすく整理しています。

「自動詞・他動詞の見分け方」の記事はこちら

自動詞・他動詞の違いと見分け方|原因と結果で理解する教え方【日本語教師向け・図解】自他①
「この動詞って自動詞?他動詞?」と迷ったことありませんか?日本語教師向けに、自他の見分け方のポイントをイラスト付きで紹介します。

「他動詞の代わり」の記事はこちら

他動詞がないときは?使役形で原因を表す|自動詞との関係を図解で解説【日本語教師向け】自他③
他動詞がない動詞、どう教える?そんなときは自動詞の使役形で代用する方法があります。日本語教師向けに、使い分けのコツと指導のポイントをわかりやすくまとめました。

「寝かせる・寝させる」の違いの記事はこちら

「寝かせる」と「寝させる」の違い|意味と使い分けを図解で解説【日本語教師向け】自他④
「寝かせる」と「寝させる」はどう違う?実は自動詞・他動詞・使役が深く関わっています。日本語教師向けに、教える前に知っておきたいポイントを丁寧に整理します。

 

参考文献はこちら

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