日本語授受表現「あげる・くれる・もらう」をウチ・ソトで徹底整理|教師向け整理表付き

日本語授受表現「あげる・くれる・もらう」をウチ・ソトで徹底整理|教師向け整理表付き レシピ②文型

概要

1分で読めるまとめ版

・日本語の授受表現「あげる・くれる・もらう」は、「ウチ・ソト」の関係で整理すると理解しやすい。

・あげる
基本:ウチ → ソト

・くれる
基本:ソト → ウチ

・もらう
基本:ウチ ← ソト

・「あげる」は最も広く使える授受表現。

・「くれる/もらう」は、「わたし」や「わたしの身内」が関わる時のみ使用。

・「ソト同士」のやりとりは「あげる」で表す。

・「くれる」と「もらう」は、同じ出来事を視点・主語を変えて表現するペア。

●ポイント:
・「あげる」「くれる」
⇒与える人が主語(視点=与える側)

・「もらう」
⇒受け取る人が主語(視点=受け取る側)

1分で読める整理表

【「あげる」の整理表】

パターン例文自然な表現?
ウチ→ソトわたしが加藤さんにプレゼントをあげました。
ウチ→ウチわたしが母にプレゼントをあげました。
ソト→ソト加藤さんがエマさんにプレゼントをあげました。
ソト→ウチ加藤さんがわたしにプレゼントをあげました。

【「くれる」の整理表】

パターン例文自然な表現?
ソト→ウチ加藤さんがわたしにプレゼントをくれました。
ソト→ウチ(わたしに身近な人)加藤さんが弟にプレゼントをくれました。
ウチ→ウチ(わたし)妹がわたしにプレゼントをくれました。
ソト→ソト加藤さんがエマさんにプレゼントをくれました。
ウチ→ソトわたしが加藤さんにプレゼントをくれました。

【「もらう」の整理表】 

パターン例文自然な表現?
ウチ←ソトわたしが加藤さんにプレゼントをもらいました。
ウチ(わたし)←ウチわたしが母にプレゼントをもらいました
ソト←ソト加藤さんがエマさんにプレゼントをもらいました。
ソト←ウチ加藤さんがわたしにプレゼントをもらいました。

1発理解のイラスト集

【「あげる」のイラスト】

【「くれる」のイラスト】

【「もらう」のイラスト】

「あげる・もらう・くれる」をどう整理するか

授受表現「あげる・もらう・くれる」の違いが、いつまで経っても整理できません。

説明しようとすると複雑でややこしいのに、私たちは自然に使い分けていますよね。とても不思議です。

確かに。

では、この「自然な使い分け」を逆手にとって、ウチソトの関係から考えてみましょう。

まずは、次の文を見てください。

「あげる」徹底整理!

 不自然に感じる文の例

(?) 加藤さんがわたしにプレゼントをあげました。

これは、「あげる」を使ったプレゼントの移動を表す文だね。

一見正しそうだけど、ちょっとしっくりこないかも。

そもそも、「誰かが、わたしに、何かをあげる」ってあまり言わないような…。

そうです。

まさに、そこが「あげる」のポイントになってきます。

「あげる」の基本的な意味:ウチ → ソト

「あげる」は、わたし(またはわたしに近い人)がわたしから遠い人に何かを与えるときに使います。

あげる:
【わたし(またはわたしに近い人)】が【わたしから遠い人】に何かを与える

つまり、物や行為が「ウチ → ソト」へ移動するイメージです。

あげる:「ウチ → ソト」
例:わたしが加藤さんにプレゼントをあげました。

なるほど!

つまり、「あげる」を使うなら、「ウチ(わたし) → ソト」 で表さなきゃいけないんですね。

 

そう。

でも、最初の例文では 「ソト(加藤さん) → ウチ(わたし)」 になっているから不自然に感じてしまったのです。

 授受表現を「ウチ・ソト」の視点から考える

「ウチ・ソト」は敬語の記事で出てきた人間関係を表す考え方の一つでしたね!

はい。

授受表現でも当てはめて考えると整理しやすくなりますよ。

【「ウチ・ソト」に関する記事はこちらをご覧ください↓↓↓】

ウチとソトの違いを図解&イラストで徹底解説|敬語の使い分けを家庭・学校・職場で比較!授受表現にもつながる
「家族でもソト?」ウチソト関係が敬語にどう影響するかを、具体的な会話と図解で徹底整理。授受表現のコツも紹介!

便利ですね!

「あげる」の例外パターン|ウチ → ウチ、ソト → ソト

質問です。

「わたしが母にプレゼントをあげました」の場合はどうでしょう。

わたしもウチの人、母もウチの人ですよね。

わたしも母もウチの人ですが、これは自然です。

じゃあ、「加藤さんがエマさんにプレゼントをあげました」は?

どちらもソトの人同士のやりとりだよ。

「ソト同士」のやりとりでも「あげる」を使えます。

「あげる」が使えるのはどんな場合?

「あげる」が使える時:

●「あげる」が自然に使えるのは、次のようなパターンです。

ウチ → ソト
わたしが加藤さんにプレゼントをあげました。

ウチ → ウチ(わたし以外の身内)
わたしが母にプレゼントをあげました。

ソト → ソト
加藤さんがエマさんにプレゼントをあげました。

×ソト → ウチ
⇒「あげる」は使えません。
×加藤さんがわたしにプレゼントをあげました。

まとめ:「あげる」の使い方

・「あげる」は ウチ → ソト の移動を表す授受表現。

・「ウチ → ウチ(わたし以外の身内)」でも自然に使える。

・「ソト → ソト」の場合も「あげる」を使える。

・ただし「ソト → ウチ」の場合は不自然になる → 「くれる」を使う。

●「あげる」は「わたし(ウチ)」を基準にして、外に向かって与える動きを表す表現。

「くれる」を徹底整理!

 不自然に感じる文の例

(?) わたしが加藤さんにプレゼントをくれました。

これは、「くれる」を使ったプレゼントの移動を表す文だね。

でも、何だかとても不自然だな。

そもそも、「わたしが、誰かに、何かをくれる」ってあまり言わないような…。

そうです。

この「不自然さ」こそが「くれる」の特徴につながります。

「くれる」の基本的な意味:ソト → ウチ

くれる」は、わたしから遠い人がわたし(またはわたしに近い人)に何かを与えるときに使います。

くれる:
【わたしから遠い人】が【わたし(またはわたしに近い人)】に何かを与える

つまり、物や行為が「ソト → ウチ」へ移動するイメージです。

くれる:「ソト → ウチ」
例:加藤さんがわたしにプレゼントをくれました。

なるほど!

だから、先ほどの例文は「ウチ(わたし) → ソト(加藤さん)」になっていて、不自然に感じたのですね。

 

 授受表現を「ウチ・ソト」の視点から考える

「あげる」と同じように、「くれる」もウチ・ソトの関係で整理できます。

【「ウチ・ソト」に関する記事はこちらをご覧ください↓↓↓】

ウチとソトの違いを図解&イラストで徹底解説|敬語の使い分けを家庭・学校・職場で比較!授受表現にもつながる
「家族でもソト?」ウチソト関係が敬語にどう影響するかを、具体的な会話と図解で徹底整理。授受表現のコツも紹介!

「くれる」の例外パターン|ウチ → ウチ、ソト → ソト?

質問です。

「妹がわたしにプレゼントをくれました。」の場合はどうでしょう。

妹もウチの人、わたしもウチの人ですよね。

妹は「ウチの人」ですが、この文は自然です。
基準が「わたし」に置かれているため、ウチの人 → わたし の場合でも「くれる」が使えるのです。

じゃあ、「加藤さんがエマさんにプレゼントをくれました。
」は?

これはソトの人同士のやりとりだけど…

これは不自然。「ソト → ソト」の場合は「くれる」を使えません

「あげました」を使います。

「くれる」が使えるのはどんな場合?

「くれる」が使える時:

●「くれる」が自然に使えるのは、次のようなパターンです。

ソト → ウチ (わたし)
例:加藤さんがわたしにプレゼントをくれました。

ソト → ウチ(わたしの身近な人)
例:加藤さんが弟にプレゼントをくれました。

ウチ → ウチただし自分以外の身内 → わたし)
例:妹がわたしにプレゼントをくれました。

×ソト → ソト、×ウチ→ソト
「くれる」は使えません
×加藤さんがエマさんにプレゼントをくれました。
×わたしが加藤さんにプレゼントをくれました。

まとめ:「くれる」の使い方

・「くれる」は ソト → ウチ の移動を表す授受表現。

・「ウチ → ウチ(身内 → わたし)」でも自然に使える。

・「ソト → ソト」の場合は使えない → 「あげる」を使う。

・「~に」が「わたし」の場合、省略されることが多い。

「もらう」を徹底整理!

 不自然に感じる文の例

(?) 加藤さんがわたしにプレゼントをもらいました。

これは、「もらう」を使ったプレゼントの移動を表す文だね。

でも、何か変だなあ。

そうです。

まさに、そこが「もらう」のポイントになってきます。

「もらう」の基本的な意味:ウチ ← ソト

「もらう」は、わたし(またはわたしに近い人)が、わたしから遠い人から何かを受け取るときに使います。

もらう:
【わたし(またはわたしに近い人)】が【わたしから遠い人】から何かを受け取る

つまり、物や行為が「ウチ ← ソト」へ移動するイメージです。

もらう:「ウチ ← ソト」
例:わたしが加藤さんにプレゼントをもらいました。

なるほど!

「もらう」は、受け取り手(わたし)を主語にして表す言い方なんですね。

 

だから、最初の例文が不自然に感じてしまったのです。

授受表現を「視点」と「主語」で比べる

ここが一番大事なポイントです。

あげる:与える人が主語になる(視点=与える側)

くれる:与える人が主語になる(視点=与える側。ただし対象はウチ)

もらう:受け取る人が主語になる(視点=受け取る側)

「もらう」だけが 受け取り手(ウチ)が主語 になる表現。

「くれる」と「もらう」の関係

あれ?よく見ると、「くれる」と「もらう」って同じ出来事を表しているよね?

その通り。

「くれる」と「もらう」は同じ出来事を視点・主語を変えて表現しています。

「くれる」と「もらう」は、同じ出来事を逆の視点から表すペアです。

例:
加藤さんがわたしにプレゼントをくれました。

わたしが加藤さんにプレゼントをもらいました。

●どちらも「ソト → ウチ」の出来事。
●主語を「ソト(与え手)」にするか「ウチ(受け手)」にするかで変わる。

まとめ:「もらう」が使える時

「もらう」が使える時:

●「もらう」が自然に使えるのは次のようなパターンです。

ウチ(わたし) ← ソト
例:わたしが加藤さんにプレゼントをもらいました。

ウチ(わたし以外の身内) ← ソト
例:弟が加藤さんにプレゼントをもらいました。

ウチ(わたし) ← ウチ(ただし「わたし」から見て身内同士のやりとり)
例:わたしが母にプレゼントをもらいました。

× ソト ← ソト、×ソト ← ウチ
「もらう」は使えません。
× 加藤さんがエマさんにプレゼントをもらいました。
×加藤さんがわたしにプレゼントをもらいました。

まとめ:「もらう」の使い方

・「もらう」は ソト → ウチ の移動を表す授受表現。

・主語は 受け取る側(わたし・ウチ)。

・「ウチ ← ソト」「ウチ ← ウチ」では使える。

・「ソト ← ソト」では使えない。

●「もらう」は 受け取る人の視点で語る表現 です。

 

 

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