この記事はこんな先生におすすめ

使役文、「誰かに何かをさせる文」と説明して終わっていませんか?
□「に/を」の違いをうまく説明できない。
□ 許可と強制の違いがあいまい。
□「花を咲かせる」など、無意志動詞の使役をどう説明するか迷う。
□ 他動詞的な使い方になると説明に迷う。
1分で読めるまとめ版
■ 使役文とは
使役主が加わり、人やものに動作・変化を起こさせる文。
・エマがピーマンを食べる。
→ 母親がエマにピーマンを食べさせる。
■ 他動詞・自動詞で助詞が変わる
・他動詞 → 動作主は「に」
母親がエマにピーマンを食べさせる。
・自動詞 → 動作主は「を」
母親がエマを走らせる。
■ 使役文の主な意味
・許可 → したい人にさせる
・強制 → したくない人にさせる
・他動詞的 → 使役主の働きかけによって、動作・変化を起こす
■ 無意志動詞にも使役形は使える
・花を咲かせる
・食べ物を腐らせる
※この場合も、命令して「させる」のではなく、
使役主の働きかけによって変化を起こす他動詞的な使い方。
■ ポイント:
使役文では、
「誰が動作・変化を起こしているか」
「動作主に意志があるか」
を見る。
ここがコア|使役文
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基本構造と活用
使役文の基本構造

まず、使役文の基本的な構造を見てみましょう。
| 種類 | 使役主(ガ格) | 動作主 | 使役動詞 |
|---|---|---|---|
| 他動詞の使役 | 母親が | エマに | 食べさせる |
| 自動詞の使役 | 母親が | エマを | 走らせる |
使役形の活用
使役形の動詞の活用についてはこちらの記事をご参照ください。

使役文の作り方と格の変化|「に」と「を」

使役文にすると、文の中に「使役主」が加わります。
→ 動作主が主語
→ 使役主が加わり、主語になる

もとの文の主語は、使役文では動作主として文の中に残ります。
他動詞の使役文|動作主は「に」
エマがピーマンを食べます。
母親がエマにピーマンを食べさせます。

使役文では、
・母親=使役主
・エマ=動作主(実際に「食べる」人)
となります。
そして、他動詞の使役文では、
もとの文で主語だった動作主「エマ」は、「に」で示されます。

「食べる」のは、使役文になってもエマですね。
↓
母親がエマにピーマンを食べさせる。
自動詞の使役文|動作主は「を」
エマが走ります。
母親がエマを走らせます。

使役文では、
・母親=使役主
・エマ=動作主(実際に「走る」人)
となります。
自動詞の使役文では、動作主は基本的に「を」で示されます。

こちらも、「走る」のは母親ではなくエマです。
↓
母親がエマを走らせる。
使役文の3つの意味用法|許可・強制・他動詞的表現

使役文は「~させる」という形ですが、意味は1つではありません。
たとえば、
母親が子どもにご飯を食べさせる。
この一文だけでは、「許可」なのか「強制」なのかはわかりません。

そこで注目したいのが「動作主の意志」です。
同じ「食べさせる」でも、動作主がどうしたいのか、
また、どのような働きかけによって動作が起こるのかによって、
意味が変わります。
① 許可の使役|したい人にさせる


子どもは「もっと食べたい」と思っていますね。
この場合、母親は子どもの「食べたい」という意志を認めて、
食べることを許可しています。
→「したい」人にさせる
母親:「いいよ」
② 強制の使役|したくない人にさせる


今度は、子どもは食べたくなさそうですね。
この場合、母親は「食べたくない」という子どもの意志に反して、
食べるように働きかけています。
→「したくない」人にさせる
母親:「食べなさい」

では、次の「食べさせる」はどうでしょうか。
③ 他動詞的な使役|動作・変化を引き起こす


これも同じ「食べさせる」ですが、許可とも強制とも少し違いますね。
赤ちゃんなど、自分だけではうまく食べられない相手に、
母親がご飯を口へ運んでいます。
この場合、
「食べたいから許可する」
「食べたくないのに強制する」
という動作主の意志の対立が中心ではありません。

母親の働きかけによって、
「子どもが食べる」という動作が起きています。
このように、使役主の働きかけによって動作・変化を引き起こす使役は、他動詞に近い働きをします。
→ 使役主の働きかけによって、動作・変化を引き起こす

「させる=命令・許可」と考えるだけでは説明できない使役ですね。
無意志動詞の使役|「花を咲かせる」

使役形は、意志をもたないものの動作・変化にも使われます。
・花を咲かせる
・食べ物を腐らせる

花や食べ物に、「~しなさい」と命令しているわけではありませんよね。
無意志動詞の使役は「他動詞の代わり」になることがある
花が咲く。【自動詞】
この「咲く」には、ペアになる他動詞がありません。
そこで、使役形を使うと、
花を咲かせる。【使役形】
となります。


「咲く」のは花。
でも、その変化を引き起こしているものがあります。
たとえば、人が水や肥料を与えたり、温度を調整したりすることで、
「花が咲く」という変化を引き起こす
ことができます。
→ 花自身の変化を表す
→ その変化を引き起こす側から表す
無意志動詞の使役形は、他動詞のような働きをすることがある。

これは、自動詞・他動詞の記事で見た「他動詞の代わり」ですね。
「意志」がなくても使役形は使える
→ 「走る」のは、意志をもつ人
→ 「咲く」のは、意志をもたないもの

つまり、
「意志があること」が使役文の条件ではありません。
動作主の意志の有無は、使役の意味を考える鍵になる。

では、「花を咲かせる」のような他動詞的な使役はどうでしょうか。
この場合は、
「したい/したくない」という意志が意味の中心ではありません。
→ 花に意志はない
→ 赤ちゃんに意志があっても、「したい/したくない」が中心ではない

他動詞的な使役では、動作主の意志よりも、
使役主の働きかけによって、動作・変化が引き起こされる
ことに焦点があります。
動作主の意志を見る
→ 許可
→ 強制
→ 他動詞的
「考えさせる」も使役?|心理的な反応を引き起こす使役

では、こんな使役はどうでしょうか。
その話は、私にいろいろなことを考えさせた。

この文では、
その話がきっかけとなって、私が「考える」
ということが起きています。
「考える」のは私。
その「考える」という心理的な動きを引き起こしたのが、その話です。
その話 → 私 → 考える

これも、先ほど見た「花を咲かせる」と同じように考えることができます。
→ 働きかけによって「花が咲く」という変化を引き起こす
→ きっかけ・影響によって「私が考える」という心理的な動きを引き起こす
つまり、使役には、
「誰かに命令・許可して動作をさせる」だけでなく、
何かが原因やきっかけとなって、動作・変化・心理的な反応を引き起こす使い方もある。
こんな表現も
→「私が感動する」という心理的な変化を引き起こす
→「多くの人が驚く」という心理的な変化を引き起こす
→「私が考える」という心理的な動きを引き起こす

動作主に意志がある場合でも、
「したい/したくない」が意味の中心ではない使役があるのですね。
・使役主は「人」とは限らない。
・原因やきっかけによって、動作・変化・心理的な反応を引き起こす使役もある。
1分で読める整理表
使役文の基本構造
| 種類 | 使役主(ガ格) | 動作主 | 使役動詞 |
|---|---|---|---|
| 他動詞の使役 | 母親が | エマに | 食べさせる |
| 自動詞の使役 | 母親が | エマを | 走らせる |
能動文→使役文の主語と助詞の変化
| 種類 | 能動文 | 使役文 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 他動詞 | エマがピーマンを食べる | 母親がエマにピーマンを食べさせる | 使役主が加わる/動作主「が」→「に」 |
| 自動詞 | エマが走る | 母親がエマを走らせる | 使役主が加わる/動作主「が」→「を」 |
使役の3用法と「意志」
| 用法 | 動作主の意志 | 使役主との関係 |
|---|---|---|
| 許可 | したい | その意志を認める |
| 強制 | したくない | その意志に反してさせる |
| 他動詞的 | 意志が中心ではない/意志がないこともある | 働きかけによって動作・変化を引き起こす |
「基本的な使役」と「他動詞の代わりとしての使役」の違い
| 種類 | 例 | もとの動詞 | ペア | 表す側 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 他動詞 | ドアを開ける | 開ける【他動詞】 | 開ける/開く | 原因側 | 他動詞そのもので原因側を表す |
| 他動詞の代わり(使役形) | 花を咲かせる | 咲く【自動詞】 | ✖/咲く | 原因側 | 自動詞の使役形で原因側を表す |
一発理解|使役文
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参考書籍|もっと詳しく学びたい方へ
当サイトで参考にしている文献は、こちらにまとめています。
このテーマをさらに詳しく確認したい方には、こちらの書籍も参考になります。
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