概要
【他動詞と自動詞(対応表)】
他動詞 | 自動詞 | 備考 |
---|---|---|
開ける | 開く | 自他ペアあり |
閉める | 閉まる | 自他ペアあり |
✖ | 咲く | 自他ペアなし(他動詞✖) |
咲かせる(代用) | 咲く | 使役形で代用 |
【ニュアンス比較】
文 | ニュアンス |
---|---|
ドアを開ける(他動詞) | 直接的な働きかけ |
花を咲かせる(他動詞の代わり) | 間接的(ややぼんやり) |
花が咲く(自動詞) | 自然現象的 |
【「基本的な使役」と「他動詞の代わりとしての使役」の違い】
用法 | 主な意味 | 働きかける人 | される人・もの | 備考 |
---|---|---|---|---|
①使役(基本的意味) | 強制・許可など | 明確に存在(人など) | 明確に存在(人など) | 強い人間関係性や意志を伴う |
②他動詞の代わりとしての使役(代用表現) | 変化の原因 | 明確、あるいは抽象的(自然現象など)に存在 | もの・事象が多い | (自他ペアになる)他動詞がない時に、その意味を補う目的で表現 |
【「直接的」「間接的」についてはこちら↓↓】

ペアになる他動詞がないってどういうこと?

「花が咲く」の「咲く」は他動詞でしたか、自動詞でしたか。

はい!自動詞です!
「花が咲く」は変化の結果であり、自然現象的なので、自動詞です。
【詳しくはこちら↓↓】



そうですね。
そして、自動詞「咲く」にはペアとなる他動詞はありませんでした。
ちなみに、他動詞は対象(物)に対する人の働きかけのみに注目した表現でしたね。
✖ 咲く
「咲く」の原因をどう表す?実は使役形が使える!

他動詞自動詞でペアになる動詞は、原因と結果の関係があるって自他①で言っていたけど、自動詞「咲く」にはペアとなる他動詞表現がないのだから、人の働きかけという原因は表せないんだね。

「花が咲く」という結果に対して、その原因となる人の働きかけというのは本当に表現できないのでしょうか。

ん~。
「花が咲く」ってもう自然現象だもんなあ。

じゃあ、これは表現できませんか?

こ、これは!
花さかじい……
現実的ではないでしょうが、この流れで「花が咲く」といった結果が生み出される場合。
原因となるこの部分。表現できますか?

できます!
おじいさんが花を咲かせているんです!
そう。咲かせる。
「(人が)花を咲かせる。」のです。

「咲かせる」って使役形ですよね。

はい。「咲かせる」は自動詞「咲く」の使役形です。
これが他動詞の代わりとなり、原因を表すことができます。
【使役形の活用についてはこちら↓↓】

つまり、ペアになる他動詞がなく、でもその自動詞文の原因を表現したい場合には、
咲かせる 咲く

それに物語みたいな架空の出来事だけじゃなく、今どきは実際に人間が花を咲かせることができるよね。

あ、確かに。電照菊とかって人工的に花を咲かせる栽培方法の一つだもんね。
【使役文についてはこちら↓↓】

【図解】使役形が他動詞の代わりになる仕組み
他動詞 | 自動詞 | 備考 |
---|---|---|
開ける | 開く | 自他ペアあり |
閉める | 閉まる | 自他ペアあり |
✖ | 咲く | 自他ペアなし(他動詞✖) |
咲かせる(代用) | 咲く | 使役形で代用 |
他動詞と使役形の違いとは?ニュアンスに注目

前回自他②で出てきた本当の「自動詞」と「自動詞の代わり(受身形)」って違いがあったけど、「他動詞」と「他動詞の代わり(使役形)」にも違いがあるのかな。

うーん、確かに、
他動詞「ドアを開ける」と他動詞の代わり「花を咲かせる」って両方とも何らかの働きかけによる変化の原因を切り取った表現なのに、何か雰囲気違うね。
開ける 開く
閉める 閉まる
咲かせる 咲く
腐らせる 腐る

そうですね。
他動詞の方は対象への直接的な働きかけの感じがあるのに対し、他動詞の代わりの方はそのあたりがちょっと薄い感じがしますね。

確かに!
これは前回自他②と逆で、他動詞の代わりはあくまで自動詞(の使役形)で他動詞ではないってことよね。それに使役形だから文全体が間接的な雰囲気出るのかな。
でも使役の意味の「誰(何)かが誰(何)かに何か行為をさせた」感も薄い気はする。だから「他動詞の代わり」にできるのかしら。
文 | ニュアンス |
---|---|
ドアを開ける(他動詞) | 直接的な働きかけ |
花を咲かせる(他動詞の代わり) | 間接的(ややぼんやり) |
花が咲く(自動詞) | 自然現象的 |
【図解】「基本的な使役」と「他動詞の代わりとしての使役形」の違い
用法 | 主な意味 | 働きかける人 | される人・もの | 備考 |
---|---|---|---|---|
①使役(基本的意味) | 強制・許可など | 明確に存在(人など) | 明確に存在(人など) | 強い人間関係性や意志を伴う |
②他動詞の代わりとしての使役(代用表現) | 変化の原因 | 明確、あるいは抽象的(自然現象など)に存在 | もの・事象が多い | (自他ペアになる)他動詞がない時に、その意味を補う目的で表現 |
【「直接的」「間接的」についてはこちら↓↓】

【使役文についてはこちら↓↓】

【使役形の活用はこちら↓↓】

【参考文献はこちら】
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