条件「なら」とは?|コアイメージから使い方まで徹底解説【日本語教師向け】

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条件「なら」とは?|コアイメージから使い方まで徹底解説【日本語教師向け】 レシピ②文型
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この記事はこんな先生におすすめ

「なら=もし〜なら」で教えていませんか?

FOR TEACHERS

□「なら=仮定」として説明している。
□「たら・ば」との違いがあいまい。
□ 会話で「なら」がよく使われる理由を説明したい。
□ 学習者に「どれを使えばいい?」と聞かれて困る。

1分で読めるまとめ版

■ 条件「なら」とは
「Aという前提のもとで、それについてBを述べる」

■ 特徴
① 前提に対する判断・提案を表す
② 後件で意志・助言が使いやすい
③ 対話的で会話に多い表現

■ 条件の種類別「なら」
・仮定条件
・反事実条件

それでは、この記事のコアを確認しましょう。

ここがコア|「なら」

🗝 鍵カード

鍵:なら

🖌 イラストでイメージを掴む

条件「なら」

「Aが起きたあとでB」ではなく、

「Aという前提なら、Bだ」と考えるのがポイントです。

条件「なら」とは?

前の文(前件):前提
後の文(後件):判断・提案・評価

ポイント整理

①「なら」は前提を受けて判断する
②後件で意志・助言が使いやすい
③対話的で会話に多い

「なら」は、『その前提ならどう考える?』を表す表現なんです。

①「なら」は前提条件を表す

ポイント整理

Aなら、B
= Aという前提のもとで、Bを述べる
・前件は前提になる
・後件で判断・提案・評価を述べる
・「それなら〜」に近い

例文

・雨なら、出かけません。
・時間がないなら、タクシーで行きましょう。
・日本へ行くなら、京都がおすすめです。
→ Aという前提についてBを述べる

この「前提を受ける」という性質が、

あとで説明する「対話的な表現」という特徴につながります。

「ば」と何が違う?

例
・雨が降れば、出かけません。
・雨なら、出かけません。

【ば】の考え方
雨が降る→出かけない
☞ 条件と結果の関係
【なら】の考え方
雨という前提→出かけないと判断する
☞ 前提と判断の関係

つまり、「ば」が

条件 → 結果

を見る表現なのに対して、

「なら」は

前提 → 判断・提案

を見る表現なのです。

▶条件「ば」の記事

②「なら」は後件で意志・助言が使いやすい

「なら」は、
前提を受けて判断や提案を述べる表現でした。
そのため、
後件では意志・提案・依頼などの表現が自然に使われます。

例文

・時間があるなら、映画を見に行きましょう。
・わからないなら、先生に聞いてください。
・お腹が空いているなら、何か食べましょう。
→ 前提を受けて提案や助言をしている

「なら」は、

『その前提なら、こうしたらどう?』

という発想なので、

意志・提案・助言が自然に続くんですね。

③「なら」は対話的な表現

「なら」は、
相手の発言や状況を受けて前提を立てる表現です。
そのため、
条件文の中でも特に会話でよく使われます。

会話の例

A:日本に行きたいです。
B:日本に行くなら、京都がいいですよ。
A:明日は仕事が休みです。
B:休みなら、どこか出かけましょう。
A:時間がありません。
B:時間がないなら、タクシーで行きましょう。
→相手が言った内容を受けて、
「それなら……」と判断や提案をしている

「ならば」「であれば」

「なら」と似た形に、

「ならば」「であれば」があります。

・なら
→ 日常会話でよく使う
・ならば
→ やや改まった響き
・であれば
→ 説明的・文章的な表現

例文

・時間がないなら、タクシーで行きましょう。
・時間がないならば、タクシーで行きましょう。
・時間がないのであれば、タクシーで行きましょう。

条件の種類別「なら」

条件「なら」は、
・仮定条件
・反事実条件
でよく使われます。
「たら」や「ば」のように、すべての条件文を幅広く表すというより、
前提を受けて判断・評価する場面で使われる表現です。

 

まずは最も基本となる仮定条件から見ていきましょう。

▶ 条件の種類に関する記事はこちら

仮定条件の「なら」

前の文(前件):「起こるかどうかわからない前提」
後の文(後件):「その前提に対する判断・提案・評価」

 

ポイント整理

・「もし」と相性が良い
・未来の仮定を表す
・判断・提案・助言と相性が良い
・会話でよく使われる
・「それなら〜」と言い換えられる

例文

・(もし)雨が降るなら、出かけません。
・(もし)暇なら、手伝ってください。
・(もし)1日50時間あるなら、何をしますか。

「なら」の見方

「なら」は、前提を受けて判断する表現でした。
そのため、
雨が降るなら → 前提
出かけません → 判断
というように、前件を受けて後件で判断を述べます。

会話で自然な理由

A:明日、雨が降るそうですよ。
B:雨が降るなら、出かけません。
A:明日は休みです。
B:休みなら、出かけましょう。

「なら」は、

相手の話を受けて

『それなら……』

と続けることができるため、

会話で特によく使われます。

反事実条件の「なら」

前の文(前件):「実際とは違う過去の前提」
後の文(後件):「その場合の結果・評価」

 

ポイント整理

・実際とは違う過去を想像する
・後悔・残念・安堵などの気持ちを表しやすい
・「もし」と相性が良い
・後件で意志表現は使えない
・「のなら」が自然に使われやすい

例文

・昨日早く寝ていたのなら、今日は元気だったのに。
(実際は早く寝なかった)
↓
(だから今は元気ではない)
・身分証を忘れていたのなら、この書類は発行できませんでした。
(実際は忘れなかった)
↓
(だから発行できた)
・もっと勉強していたのなら、合格できたかもしれません。
(実際は十分に勉強しなかった)
↓
(だから合格できなかった)

「なら」は過去の前提を受けて考える

「なら」は、前提を受けて判断や評価を述べる表現でした。
反事実条件では、
実際には起こらなかった過去を前提として、
「その前提ならどうだったか」を考えます。

例文

昨日早く寝ていたのなら
↓
今日は元気だった
もっと勉強していたのなら
↓
合格できたかもしれない

つまり、反事実条件の「なら」は、

実際とは違う過去の前提を受けて、

その結果や評価を述べる表現なんです。

反事実条件で意志表現は使えない

反事実条件は、すでに終わった過去についての話です。
そのため、
後件に意志・命令・依頼などの意志表現は基本的に使えません。

【反事実条件】
✔ すでに終わった過去
✔ 実際とは違う想像

例文

× もっと勉強していたのなら、合格しましょう。
× 早く出ていたのなら、電車に乗りましょう。
→ 過去の話なのに、未来の意志を言っている
→ 時間の軸がずれてしまう

「なら」と「のなら」の違い

・日本へ行くなら、京都にも行ってみてください。
・日本へ行くのなら、京都にも行ってみてください。

あれ?

この2つは何が違うのでしょうか。

意味はほとんど同じですが、ニュアンスには少し違いがあります。

「のなら」は事情や事実を受ける表現

「のなら」は、
相手の発言や状況、すでにある事実を受けて、

それを前提に説明や助言をする表現です。

 対話での「のなら」

A:明日、日本へ行きます。
B:日本へ行くのなら、京都にも行ってみてください。
→「あなたがそう言うなら……」という気持ちが含まれる

反事実での「のなら」

反事実条件は、
「実際はこうだった」という事実を踏まえて、
「もし違っていたら」と考える文でした。
そのため、
事実を受けて話すニュアンスを持つ
「のなら」が自然に使われやすくなります。

 

「のなら」(自然)
〇 昨日早く寝ていたのなら、今日は元気だったのに。
→ 事実を踏まえて「その条件なら…」と考えている
→「そういう状況だったんだったら言うけどさ」
「なら」(〇だけど…)
〇 昨日早く寝ていたなら、今日は元気だったのに。
→ 文法的にはOK。でも、前提の重さが足りない感じ
→「それが条件なら言うけどさ」
→「のなら」の方が、事実を踏まえて振り返る感じが出やすい

「なら」はよりシンプル

一方、

「なら」は前提をそのまま条件として扱う表現です。

例文

A:明日、日本へ行きます。
B:日本へ行くなら、京都にも行ってみてください。
→「日本へ行く」という条件を受けて、そのまま助言をしているイメージ

名詞・な形容詞では「なら」が自然

・花粉症なら、この薬がいいですよ。
・暇なら、手伝ってください。
・学生なら、この制度が利用できます。
→ 状態や属性を条件として扱う場合は、「のなら」より「なら」の方が自然に使われます。

一言で整理すると

【なら】
条件を見る
→その条件ならどうする?
【のなら】
事情や事実を受ける
→そういう状況ならどうする?

「のなら」の「の」は何?

「のなら」は、
形式名詞「の」+なら でできています。
形式名詞「の」は、文を名詞の形にする働きがあります。

例文

・行く → 行くの → 行くのなら
・高い → 高いの → 高いのなら

そのため、「のなら」は特に

・動詞
・い形容詞

と一緒に現れやすい形です。

「の」が入ることで、単なる条件というより、
「その事実・その状況について言うなら」というニュアンスが生まれます。
だから、
【なら】条件を見る
よりも、
【のなら】事情や事実を受ける
という感じが出やすいのです。

 

「なら」「のなら」比較整理表

形イメージ
なら前提を受けて判断する
のなら相手の発言・状況を受けて説明する

「なら」接続

「なら」は、基本的に普通形+ならで作ります。

▶ 辞書形のつくり方

な形容詞・名詞は「だ」が落ちる

ので注意しましょう。

接続一覧表

品詞接続
動詞普通形+なら
い形容詞普通形+なら
な形容詞「だ」を取って+なら
名詞「だ」を取って+なら

動詞+なら

普通形+なら

動詞は普通形に「なら」をつけます。
例
・行く → 行くなら
・食べる → 食べるなら
・行った → 行ったなら
・行かない → 行かないなら
【補足】
動詞はさまざまな普通形に接続できます。
・行くなら
・行ったなら
・行かないなら
・行かなかったなら

い形容詞+なら

~い+なら

い形容詞はそのまま「なら」をつけます。
例
・高い → 高いなら
・寒い → 寒いなら
・安い → 安いなら
【補足】
い形容詞の普通形は「~い」の形です。
・高い
・寒い

な形容詞+なら

語幹+なら

な形容詞は「だ」を落として接続します。
例
・暇だ → 暇なら
・静かだ → 静かなら
・便利だ → 便利なら
【補足】
な形容詞の普通形は「語幹+だ」の形です。
・暇 → 暇だ
・静か → 静かだ
「なら」に接続するときは、この「だ」が落ちます。

名詞+なら

名詞+なら

名詞も「だ」を落として接続します。
例
・学生だ → 学生なら
・雨だ → 雨なら
・休みだ → 休みなら
【補足】
名詞の普通形は「名詞+だ」の形です。
・学生 → 学生だ
「なら」に接続するときは、この「だ」が落ちます。

番外編|条件以外の「なら」

ここまで見てきた「なら」は、前提を受けて判断する条件表現でした。
実は、「なら」には条件以外の使い方もあります。

ここでは、

日本語教師が授業で質問されやすい代表的な二つを紹介します。

「〜なら」=話題を取り上げる

話題を取り上げる「なら」

ポイント整理

・「〜について言うなら」という意味
・条件ではなく話題提示
・会話でよく使われる

例文

・加藤さんなら、もう帰りましたよ。
→「加藤さんについて言うなら」の意味
→ 条件ではなく、話題を取り上げる働きである。「加藤さんなら帰る」という条件ではない

話題を切り替える「では」「については」に近い使い方と考えると分かりやすいでしょう。

▶ 「加藤さんだったら、もう帰りましたよ」との違いはこちら 

「〜ならでは」=そのものだからこその価値

「そのものだからこそ」の「なら」

ポイント整理

・「そのものだからこそ」の意味
・特別さ・独自性を表す
・名詞につながる

例文

・京都ならではの風景
・日本ならではの文化
・この店ならではの味
→「京都ならではの風景」は、「京都だから見ることができる風景」の意味
→ 他では味わえない、そのもの特有の価値を表す表現

「ならでは」は、

そのものだからこそ実現できるという特別さを表します。

 ここが重要

条件の「なら」と、それ以外の「なら」は役割が異なります。

表現役割
雨が降るなら、出かけません。前提を受けて判断する(条件)
加藤さんなら、もう帰りましたよ。話題を取り上げる
京都ならではの風景そのものだからこその特別さ

同じ「なら」でも、
条件を表すのか、話題を表すのか、それとも特別さを表すのか
を区別して考えると整理しやすくなります。

 

1分で読める整理表

基本イメージ「なら 」

用法意味例文ポイント
前提条件Aという前提を受けて、それについて判断・提案を述べる雨なら、出かけません。結果より「判断・提案」を表す。
意志・助言が使いやすい前提を受けて、提案・依頼などを自然に述べられる時間があるなら、映画を見に行きましょう。「~しよう」「~してください」が自然
対話的である相手の発言や状況を受けて使う表現A:日本に行きたいです。
B:行くなら、京都がいいですよ。
会話の流れで使われる

条件種類別「なら」

条件の種類使いやすさコアイメージ
仮定条件◎その前提ならどうするか
確定条件△予定の順序には「たら」が自然
一般条件△法則には「と」「ば」が自然
反事実条件◎その前提ならどうだったか

条件以外の「なら」

表現役割
雨が降るなら、出かけません。前提を受けて判断する(条件)
加藤さんなら、もう帰りましたよ。話題を取り上げる
京都ならではの風景そのものだからこその特別さ

一発理解|「なら」の図解まとめ

🗝 鍵カード

鍵:なら

🖌 イラスト図解集

条件「なら」

話題を取り上げる「なら」

「そのものだからこそ」の「なら」

参考書籍|もっと詳しく学びたい方へ

当サイトで参考にしている文献は、こちらにまとめています。

▶ 参考文献一覧はこちら

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