ウチソト関係とは?意味と例をわかりやすく解説|敬語・授受表現につながる【日本語教師向け・図解】

ウチソト関係とは?意味と例をわかりやすく解説|敬語・授受表現につながる【日本語教師向け・図解】 レシピ④敬語

この記事はこんな先生におすすめ

敬語、“上下関係”だけで説明していませんか?

FOR TEACHERS

✔ 親疎関係は説明できるが、ウチソトがあいまい
✔ 同じ人でも敬語が変わる理由を説明できない
✔ 授受表現(あげる・くれる・もらう)とのつながりが弱い
✔ 場面による使い分けを整理したい

1分で読めるまとめ版

・敬語は「上下関係」「親疎関係」「ウチソト関係」の3つで使い分けられる。

ウチ=【私】の内側(同じ立場・集団の人)

ソト=【私】の外側(外部の人)

・同じ相手でも、家では「ウチ」、職場では「ソト」になることがある。(場面依存)

・ウチソトは固定ではなく、場面や相手との関係で変わる。

・敬語や授受表現(あげる・くれる・もらう)の理解にも深く関わる。

●ポイント:
「相対敬語」と結びつけて整理する。

敬語に影響する三つの人間関係とは

敬語使用に影響する人間関係は、大まかに三つに分けられましたね。

それは、①上下関係 ②親疎関係 ③ウチソト関係です。

敬語を使う場面
①上下関係
②親疎関係
③ウチソト関係

前回は②の「親疎関係」について説明をしました。

おさらいしておきましょう!

親疎関係の解説についてはこちら

上下関係の解説についてはこちら

敬語の解説についてはこちら

ウチソト関係と相対敬語

今回は「ウチソト関係」に注目しましょう!

親疎関係の時でも思ったけど、

敬語ってその時の関係や状況、場面で使う表現が違うよね。

そうですね。

そのような敬語のことを「相対敬語」とも言います。

日本語の特徴の一つでもありますね。

これが、今回の「ウチソト関係」の考え方ととても深くつながります。

「ウチソト関係」って、感覚で何となくわかるから、いざ言葉で整理しようとすると難しいなあ。

ウチソトの基本図

まずは、ウチソト関係の「基本形」を頭に入れておきましょう。

・基準になるのは、常に「わたし」です。
・「わたし」はウチの中心に位置します。
ソトは「わたし」とは違う立場にいる人たちです。

家族は「ウチ」とは限らない。

はい!

家族は「ウチ」、上司は「ソト」!

ウチソト関係って、この考え方でいいんですよね?

そういう時もありますね。

えっ、家族が「ウチ」じゃない時ってあるの?

ありますよ。

次の場面を見てください。

家ではウチでも、職場ではソトに

家庭の会話

まずは、家での親子の会話です。

息子のタロウが父親に話しかけていますね。

タロウにとって父親は「ウチ」の存在ですから、とてもフランクな話し方です。

場面: 親子の会話(場所:家)
タロウ:父さん、明日ゴルフコンペ行くっけ?
タロウの父:あったりまえだ~。

ここでウチソト関係を図にすると、次のようになります。

なるほど。よくある親子の会話だね。

敬語なんか使わないよね。

 

ビジネスの会話

はい。

では、次は同じ人物で場面を変えてみます。

そうすると、少し様子が変わってきます。

✓場面: A社とB社の会議(場所:会議室)
A社社員(タロウ):社長、明日のゴルフコンペにいらっしゃいますか。
B社社長(タロウの父):おう、行くよ。

図で表すと次のようになります。

なるほど。

これは父親が「ソト」になるパターンですね。

確かに、こういったビジネスの場面だと、身内といえどもかしこまった言い方になるね。

少なくとも、家の中でしていたような話し方は、ここでは違和感あるなあ。

図解【家と職場におけるウチソト関係の変化】

場面タロウタロウの父関係
家の中ウチ
会社の会議室社員他社の社長ソト

「場面依存」がカギ

ウチソト関係とは、

大まかに言うと、ある場面において「私(=話し手)」を基準に、周囲の人との心理的・社会的距離を捉える考え方のことです。

✓ ウチソトのざっくりまとめ
「ウチ」=【私】の内側(同じ立場・集団の人)
「ソト」=【私】の外側(外部の人)

「誰にとってウチか」は相対的で、場面によって変わるということですね。

その通り。

同じ相手でも、場面によって「ウチ」にも「ソト」にもなり得る

という柔軟な考えが必要です。

学校でのウチソトを見てみよう

担任・生徒・学年主任のやりとり

家族が家の中で「ウチ」になるのはわかるけど、

学校や職場のように、色々な立場の人が集まる場所ではどうだろう。

年齢や立場が違っても「ウチ」になる時ってあるのかな。

では、「学校」という場面でのウチとソトを考えてみましょう。

担任・生徒・学年主任(山口)の会話【場所:教室】
※ウチ同士の話し方

担任:今日は山口先生が授業をしてくれますよ。
生徒:やったー!グッチーだ。
山口:みんな寝るなよ~。

担任、生徒、山口先生は立場こそ違っても、同じ学校にいる仲間としてウチの感覚を共有しています。

確かに、学校の中ってこんな雰囲気だよね。

でも、どこか完全なウチとは言い切れないような、少し距離を感じる表現にも思えるなあ。

担任の「してくれますよ」という言葉遣いかな。

そうですね。

それは、この「くれる」という授受表現が山口先生の「ウチ」感を薄めているのです。

このウチ同士の場面の中で、

山口先生は完全なウチ扱いではない、つまり、ややソト扱いであることが以下のことからわかります。

図で表すとこのようなイメージになります。

授受表現とウチソト関係の繋がりについてはこちら

まとめ図解【授受表現から見る「ややソト」扱いになる根拠】

山口先生が「ややソト扱い」である根拠

①「くれる」=ウチへの恩恵 → 山口先生はソト
・担任が「してくれますよ」と言うことで、山口先生は担任・生徒に対して行為を与える側(=ソト)として扱われている。
・「くれる」はソト → ウチの授受表現なので、山口先生がウチには含まれていないことを示している。

授受表現とウチソト関係の繋がりについてはこちら

②「くださる(尊敬語)」を使っていない → “完全なソト”ではない
・完全なソト(外部の講師など)であれば、「授業をしてくださいます」と尊敬語で表現されるはず。

③生徒の発話 →“完全なウチ”扱い
・「グッチーだ!」という親しみのこもったニックネーム呼びや、喜びを隠さない反応は、ウチの仲間として認識している。
・生徒から見れば、山口先生は明確にウチの人

発話者表現山口先生の扱い
担任「してくれますよ」ソト(ソト→ウチの授受)
担任※「してくださいます」ではない完全なソトではない(尊敬語なし)
生徒「グッチーだ!」完全なウチ(くだけた表現)

山口先生紹介の部分だけ見るとややソト扱いの面があるけど、

基本的には、立場の違いはあっても

同じ内部の仲間」としての親しみが感じられて、

形式ばった緊張感は少ないウチ同士の会話だね。

生徒の反応なんてまさに「ウチ」へ向けての言葉遣いだしね。

保護者とのやりとり

では、相手が保護者の場合はどうでしょう。

【保護者(ソト)に向けての話し方】
※ソトへ向けての話し方

担任:本日は、学年主任の山口よりご説明させていただきます。
山口:ただ今ご紹介にあずかりました、学年主任の山口でございます。本日はよろしくお願いいたします。

保護者は「学校の外部の人(ソト)」、

学校の先生たちは「学校の内部の一つのチーム(ウチ)」。

先生たちは「ウチ」の代表として、「ソト」の人(保護者)に丁寧に話します。

図で表すと次のようになります。

こういう時に使うのが、「ご説明させていただきます」や「ご紹介にあずかりました」などの敬語(謙譲語)というわけだね。

「ご紹介にあずかりました」は、紹介された時に自分が使う丁寧な言い方で、フォーマルな場面でよく使われます。

あ、それに今度は「先生」という敬称をつけずに、名前だけで紹介しているね。

そうですね。まるで「お客様」に対応する時のような気持ちが表れています。

そして、保護者の立場から見ても、先生は「ソト」の人。

だから、生徒みたいに「やったー!」なんてフランクには話しませんね。

図解【学校の場面におけるウチソトの変化】

場面話し手聞き手関係話し方の例ポイント
教室(通常の授業)担任、生徒、山口先生お互い全員ウチ生徒「グッチーだ!」
山口「寝るなよ~」
同じ学校の仲間としてフランクに会話
教室(先生紹介)担任生徒生徒=ウチ(クラス内の仲間)
山口先生=ややソト
(クラス外の先生)
「山口先生が授業してくれますよ」山口先生をクラス外の先生として少し立てつつ、親しみのある言い方
保護者会担任、山口先生保護者保護者=ソト
(外部の人)
「ご説明させていただきます」先生はウチ(学校)代表として、ソト(外部)に対し謙譲語を使用し礼儀を重視
保護者の視点保護者担任、山口先生先生=ソトフランクな言動は取らない保護者にとって先生はソトの人

まとめ:ウチとソトは「場面」で変わる関係

ウチとソトは固定の関係ではありません

誰と誰が話すかどんな場面で話すかによってその位置づけは変わるんだね。

だからこそ、日本語では関係性場面に応じた丁寧な言葉遣いが大切にされているのですね。

ウチソト関係は敬語だけじゃない!

ウチソト関係って、敬語を使うときだけに出てくる考え方なのかな。

実は、それだけじゃないんです。

先ほどの学校の場面でもみたように、授受表現を使う時にもこのウチソトの感覚がとても役に立ちます。

さっきの学校の場面って「今日は山口先生が授業をしてくれますよ。」の「くれる」のところだね。山口先生がソト扱いになったやつ。

そうですね。

くれる」というのは、ソト→ウチへの流れでした。

授受表現の「あげる・くれる・もらう」って、

いつも頭混乱するんだよね。

本当にウチソト関係から見ると、授受表現はすっきりするのかなあ。

では次回は、ウチソト関係の視点から授受表現を整理して考えてみましょう!

はーい!

授受表現とウチソト関係の繋がりについてはこちら

1分で読める整理表

家と職場におけるウチソト関係の変化

場面タロウタロウの父関係
家の中ウチ
会社の会議室社員他社の社長ソト

授受表現から見る「ややソト」扱いになる根拠

発話者表現山口先生の扱い
担任「してくれますよ」ソト(ソト→ウチの授受)
担任※「してくださいます」ではない完全なソトではない(尊敬語なし)
生徒「グッチーだ!」完全なウチ(くだけた表現)

学校の場面におけるウチソトの変化

場面話し手聞き手関係話し方の例ポイント
教室(通常の授業)担任、生徒、山口先生お互い全員ウチ生徒「グッチーだ!」
山口「寝るなよ~」
同じ学校の仲間としてフランクに会話
教室(先生紹介)担任生徒生徒=ウチ(クラス内の仲間)
山口先生=ややソト
(クラス外の先生)
「山口先生が授業してくれますよ」山口先生をクラス外の先生として少し立てつつ、親しみのある言い方
保護者会担任、山口先生保護者保護者=ソト
(外部の人)
「ご説明させていただきます」先生はウチ(学校)代表として、ソト(外部)に対し謙譲語を使用し礼儀を重視
保護者の視点保護者担任、山口先生先生=ソトフランクな言動は取らない保護者にとって先生はソトの人

1発理解のイラスト集

基本図

家庭|親子の会話

職場|上司と部下

学校|担任・生徒・学年主任(山口)

学校|先生と保護者

参考記事

「親疎関係」の記事はこちら

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