ウチ・ソト関係をコアで整理|敬語・授受表現につながる考え方【日本語教育】

ウチ・ソト関係をコアで整理|敬語・授受表現につながる考え方【日本語教育】 レシピ②文型

この記事はこんな先生におすすめ

「ウチ・ソト」って、なんとなく分かるけど説明しにくい…
そんなことはありませんか?

FOR TEACHERS

□「ウチ・ソト関係」をコアから整理したい。
□ 同じ人なのに敬語が変わる理由を説明したい。
□ 「場面で変わる」と言われても説明しにくい。
□ 敬語と授受表現をつなげて理解したい。

1分で読めるまとめ版

■ ウチ・ソト関係とは?
「わたし(話し手)」を基準に、人との関係を考えること。

■ 基本の考え方
ウチ=わたし側・同じ集団
ソト=わたし側の外にいる人
※ウチ・ソトは固定ではない。
同じ人でも、家ではウチ・職場ではソトのように、場面によって変わる。

■ ウチ・ソト関係が関わるもの
・敬語
・授受表現(あげる・くれる・もらう)
・相対敬語

■ ポイント
「家族だからウチ」ではなく、「今、この場面でわたしから見てウチかソトか」

それでは、この記事のコアを確認しましょう。

 

ここがコア|「ウチソト関係」

🗝 鍵カード

鍵:「ウチソト関係」の鍵

🖌 イラストでイメージを掴む

ウチソト基本図

敬語に影響する三つの人間関係

敬語は「丁寧な言葉」を覚えるだけでは整理できません。

アンレシピでは、敬語を次の3つの人間関係から整理しています。

敬語を使い分ける3つの軸

① 上下関係
② 親疎関係
③ ウチ・ソト関係 ← 今回

今回は、この「ウチ・ソト関係」をコアから整理していきます。

敬語についてはこちらの記事もご参照ください。

▶ 親疎関係について

上下関係について

敬語とは

ウチ・ソト関係とは?

「ウチ・ソト関係」は、敬語を理解するうえで欠かせない考え方です。

でも、

「なんとなく分かるけど、説明しようとすると難しい…」

そう感じたことはありませんか?

その理由は、

ウチ・ソトは、人そのものではなく「場面」によって変わる関係だからです。

「相対敬語」と呼ばれる理由

日本語の敬語は、相手との関係や場面によって使い分けが変わります。
このような敬語を、相対敬語と呼びます。

つまり、同じ相手でも、

・家では普通に話す
・職場では敬語で話す

ということが起こります。

これは、日本語の特徴の一つですね。

ウチ・ソトの基本イメージ

まずは、一番大切な考え方を確認しましょう。

基準になるのは、いつも「わたし」

ウチ・ソト関係では、
「わたし(話し手)」が中心になります。
そこから見て、
ウチ(内側)・ソト(外側)が決まります

ウチソト基本図

家族は、いつも「ウチ」?

家族はウチ、上司はソト

そう覚えていませんか?

もちろん、そのようになる場面もあります。

しかし、家族だからといって、いつもウチとは限りません。

同じ家族でも、場面が変わればソトになることがあります。

では、具体例で見ていきましょう。

家では「ウチ」。でも、職場では「ソト」

同じ人でも、
場面が変われば「ウチ」にも「ソト」にもなります

では、実際の会話で見てみましょう。

場面① 家では「ウチ」

まずは、家での親子の会話です。

タロウにとって父親は「ウチ」の存在なので、普段どおりの自然な話し方になります。

親子の会話(家)

タロウ:
父さん、明日ゴルフコンペ行くっけ?
父:
あったりまえだ~。
家ではウチ
家でウチ

場面② 職場では「ソト」

では、同じ父親でも、場面を変えてみましょう。

今度は会社同士の会議です。

A社とB社の会議

A社社員(タロウ):
社長、明日のゴルフコンペにいらっしゃいますか。
B社社長(父):
おう、行くよ。
ウチソト家庭

同じ父親なのに、

今度は敬語を使っています。

なぜでしょうか。

なぜ敬語になるの?「場面依存」

同じ父親なのに、
・家では普通に話す
・会社では敬語を使う
→ 違うのは父親ではなく場面

ポイント整理

・家では父親はウチ
・職場では父親はソト

つまり、

ウチ・ソトは、人ではなく「場面」で決まります。

だからこそ、

基準になるのは、いつも「わたし(話し手)」なのです。

家と職場を比べると…

場面父親の位置
ウチ
職場ソト

学校ではどうなる?

家族の例では、

同じ人でも場面によって「ウチ」と「ソト」が変わることが分かりました。

では、学校のように、

さまざまな立場の人が集まる場所ではどうでしょう。

場面① 教室での会話

担任・生徒・学年主任(山口先生)のやり取りです。

教室での会話

担任:
今日は山口先生が授業をしてくれますよ。
生徒:
やったー!グッチーだ!
山口先生:
みんな寝るなよ~。
学校ウチソト
学校内のウチソト1

担任・生徒・山口先生は、同じ学校の仲間です。
そのため、基本的にはウチ同士の関係になります。
ただし、担任は
「山口先生が授業をしてくれます」
と言っています。
ここで使われているのは「くれる」です。

なぜ「くれる」を使うの?

授受表現では、「くれる」=ソト → ウチです。

つまり、

担任は山口先生を少しソト寄りに捉えていることがわかります。

完全な身内というより、

「自分たちに協力してくれる先生」

という位置づけなのですね。

▶ 授受表現についてはこちら

ここで確認

この場面では、山口先生は少しソト寄りに捉えられています。

その理由は、次の3つです。

① 「くれる」を使ってい
担任は
「山口先生が授業をしてくれます」と言っている。
「くれる」は、ソト → ウチを表す授受表現である。
つまり、
山口先生は「授業をしてくれる人」として、
少しソト寄りに位置づけられている。
② 「くださる」を使っていない
もし外部講師のような完全なソトであれば、
「授業をしてくださいます」
のような尊敬表現になるはず。
③ 生徒は親しみをもって接している
生徒は
「やったー!グッチーだ!」と話している。
ニックネームで呼び、素直に喜んでいることから、
生徒にとって山口先生はウチの仲間といえる存在である。

つまり…

学校では、基本的にはウチ同士
しかし、
紹介する場面では、少しソト寄りの表現になることもある。

これが学校という場面でのウチ・ソトです。

発話者表現山口先生の扱い
担任「してくれますよ」ソト(ソト→ウチの授受)
担任※「くださいます」ではない完全なソトではない(尊敬語なし)
生徒「グッチーだ!」完全なウチ(くだけた表現)

場面② 保護者との会話

では、

相手が保護者になるとどうでしょう。

保護者への説明

担任:
本日は、学年主任の山口よりご説明させていただきます。
山口先生:
ただ今ご紹介にあずかりました、学年主任の山口でございます。
本日はよろしくお願いいたします。
ウチソト学校2
学校内のウチソト2

今度は、

保護者は学校の外部の人(ソト)です。

そのため、学校の先生は学校というウチを代表して保護者に話しています。
だから、
・ご説明させていただきます
・ご紹介にあずかりました
のような謙譲表現になります。

「ご紹介にあずかりました」は、

紹介された時に自分が使う丁寧な言い方で、

フォーマルな場面でよく使われます。

学校という「ウチ」を代表して、

外部の人に丁寧に話していることが表れていますね。

学校でのウチ・ソト整理表

場面話し手聞き手関係話し方の例ポイント
教室(通常の授業)担任、生徒、山口先生お互い全員ウチ生徒「グッチーだ!」
山口「寝るなよ~」
同じ学校の仲間としてフランクに会話
教室(先生紹介)担任生徒生徒=ウチ(クラス内の仲間)
山口先生=ややソト
(クラス外の先生)
「山口先生が授業してくれますよ」山口先生をクラス外の先生として少し立てつつ、親しみのある言い方
保護者会担任、山口先生保護者保護者=ソト
(外部の人)
「ご説明させていただきます」先生はウチ(学校)代表として、ソト(外部)に対し謙譲語を使用し礼儀を重視
保護者の視点保護者担任、山口先生先生=ソトフランクな言動は取らない保護者にとって先生はソトの人

ここまでのまとめ

ウチ・ソトは、人によって決まるものではありません
誰と、どんな場面で話すか
によって変わります。

ポイント整理

・家では家族はウチ
・職場では同じ家族でもソトになることがある
・学校では先生も生徒も基本的にウチ
・保護者対応では学校側がウチ、保護者がソト

というように、
同じ人物でも立場が変わるのです。

ウチ・ソトは授受表現にもつながる

実は、

この考え方は敬語だけではありません。

授受表現の
・あげる
・くれる
・もらう
も、ウチ・ソトで考えると、とても整理しやすくなります。

詳しくは、こちらの記事で解説しています。

「あげる・くれる・もらう」の記事

1分で読める整理表

家と職場におけるウチソト関係

場面父親の位置
ウチ
職場ソト

学校でソト寄りになるパターン

発話者表現山口先生の扱い
担任「してくれますよ」ソト(ソト→ウチの授受)
担任※「くださいます」ではない完全なソトではない(尊敬語なし)
生徒「グッチーだ!」完全なウチ(くだけた表現)

学校でのウチソトまとめ

場面話し手聞き手関係話し方の例ポイント
教室(通常の授業)担任、生徒、山口先生お互い全員ウチ生徒「グッチーだ!」
山口「寝るなよ~」
同じ学校の仲間としてフランクに会話
教室(先生紹介)担任生徒生徒=ウチ(クラス内の仲間)
山口先生=ややソト
(クラス外の先生)
「山口先生が授業してくれますよ」山口先生をクラス外の先生として少し立てつつ、親しみのある言い方
保護者会担任、山口先生保護者保護者=ソト
(外部の人)
「ご説明させていただきます」先生はウチ(学校)代表として、ソト(外部)に対し謙譲語を使用し礼儀を重視
保護者の視点保護者担任、山口先生先生=ソトフランクな言動は取らない保護者にとって先生はソトの人

一発理解|ウチソト関係の図解まとめ

🗝 鍵カード

鍵:「ウチソト関係」の鍵

🖌 イラスト図解集

ウチソト基本図

家ではウチ

家でウチ

ウチソト家庭

学校ウチソト

学校内のウチソト1

ウチソト学校2

学校内のウチソト2

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