助詞「は」は主語じゃない?|主題と主語の違いをコアから解説【日本語教師向け・図解】

助詞「は」は主語じゃない?|主題と主語の違いをコアから解説【日本語教師向け・図解】 レシピ②文型

この記事はこんな先生におすすめ

「は=主語」で説明していませんか?

FOR TEACHERS

□「は」と「が」の違いをうまく説明できない。
□ 主語と主題の違いがあいまい。
□ 「ラーメンはエマが食べます」の「は」を説明したい。
□ 主題「は」をコアから整理したい。

1分で読めるまとめ版

■ 主題「は」とは?
話題にしたいものを取り出して、「何について話すか」を示す。

■主語と主題の違い
・主語:述語と1セットで成立する
・主題:「何について話すか」を示す。述語がなくても提示できる。

■主題化のパターン
・主語:エマが → エマは
・目的語:ラーメンを → ラーメンは
・着点:ラーメン屋に → ラーメン屋には
・場所:体育館で → 体育館では

■ ポイント:
・「は」は、話題にしたいものを取り出して主題にする。
・「は」が何を主題にしているのかに注目すると、役割が見えてくる。

それでは、この記事のコアを確認しましょう。

ここがコア|主題「は」

🗝 鍵カード

鍵:主題「は」の鍵

🖌 イラストでイメージを掴む

主題イラスト1

「は」と「が」の違いは永遠のテーマ?

「は」と「が」の違いは、日本語文法でもよく取り上げられるテーマです。

「『は』がついた言葉は主語じゃない」って聞いたことがあります。

でも、

「私は学生です」の「私」は主語じゃないんですか?

そう思いますよね。

「は」と「が」は、
・主題と主語
・旧情報と新情報
・対比や焦点
など、さまざまな視点から説明されます。
そのため、すべてを一度に理解しようとすると、少し複雑に感じてしまいます。

この記事では「は」と「が」の違いをすべて整理するのではなく、

「は」そのものの働きに注目して考えていきましょう。

今回取り上げるのは、主題を表す「は」です。

主題とは

「主題」というと少し難しく聞こえますが、

簡単に言えば、「何について話すか」というテーマのことです。

先ほどのイラストを見てみましょう。

ポイント

「は」は、「何について話すか」を示す。
主題イラスト1

例:
エマはテニスをします。
→ 「エマについて言うと、テニスをします」

これが、主題を表す「は」の基本的な働きです。

「は」は主語じゃないの?

ここで、こんな疑問が出てきます。

「エマはテニスをします」の
「エマ」は、テニスをする人ですよね。

それなら、「エマは」は主語じゃないんですか?

たしかに、この文では「エマ」が動作の主体です。

しかし、ここで大切なのは、

「は」がついている言葉が、いつも主語とは限らない。

では、「主語」と「主題」は何が違うのでしょうか。
まずは、「が」と「は」の働きから見ていきましょう。

「が」は述語との関係を表す

まず、次の文を見てみましょう。

ポイント

「が」は、名詞と述語との関係を表す。
エマがテニスをします。
例:
エマがテニスをします。

 

この文では、

エマが → します

という関係があります。

「が」は、「エマ」が「します」の主体であることを示しています。

このように、格助詞は名詞と述語との関係を示して、文の骨格をつくります

格助詞とは?

格助詞

「が、を、に、から、と、で、へ、まで、より」の9つある
・名詞に付いて述語との関係を表す。
・名詞+格助詞の構成で、述語の意味を補っていく。

述語と格助詞の関係について

主題「は」は格助詞ではありません。

格助詞と主題の違い

ここまでで、格助詞「が」は、名詞と述語との関係を表すことがわかりました。

では、主題「は」は何が違うのでしょうか。

ポイント

格助詞は文の骨格をつくり、
「は」はその中から話題にしたいものを主題として取り出す。
例:
エマテニスをします。

エマテニスをします。
格助詞の文
「エマテニスをします」では、
「エマが」は述語「します」と結びつき、誰がするのかを表しています。
主題「は」の文
「エマテニスをします」では、
その「エマ」を取り出して、
「エマについて言うと……」と話題にしています。

この例ではたまたま

主語=エマ
主題=エマ

になっているということです。

主語と主題の違い|「ご注文は?」

では、主語と主題の違いを、もう少しはっきりさせてみましょう。

ポイント

・主語は、述語との関係で決まる。
・主題は、述語がなくても提示できる。

主語は述語とセット

主語は、述語との関係によって決まります。

例えば、
「エマがテニスをします。」では、
エマが → します
という関係があるため、「エマが」が主語になります。

つまり、何が主語になるかは、述語との関係を見なければ決まりません。

主題は述語がなくても提示できる

一方、主題は「何について話すか」を示すものです。

そのため、述語がなくても、主題だけを提示することができます。

例えば、レストランで店員にこう聞かれたとします。

店員:「ご注文は?」
ご注文は?
「ご注文は」のあとに、述語はありません。
それでも、
「ご注文については、どうしますか?」
という意味だと分かります。

店員さんは、このあとにどんな答えが返ってくるか知りません。

「ラーメンをお願いします」かもしれないし、

「まだ決めていません」かもしれません。

それでも「ご注文について」と主題だけを先に提示することができます。

主語と主題を整理すると

観点格助詞「が」主題「は」
基本的な働き述語との関係で主語を表す何について話すかを示す
注目するもの文の構造話題・テーマ
述語との関係述語との関係で決まる述語がなくても提示できる
エマがテニスをします。ご注文は?

「エマはテニスをします」では、主語と主題がどちらも「エマ」でした。
でも、主語以外のものを主題にすることもできます。

主語以外も主題にできる

「エマはテニスをします」では、

主語=エマ
主題=エマ

でしたね。

でも、「は」で主題にできるのは主語だけではありません。
目的語や場所など、話題にしたいものを取り出して主題にすることができます。

 

① 目的語を主題にする

ポイント

目的語も「は」で主題にできる。
主題:目的語
例:
エマがラーメンを食べます。

ラーメンはエマが食べます。

もとの文では、

・エマが → 主語
・ラーメンを → 目的語

です。

ここから「ラーメン」を取り出して、

「ラーメンについて言うと……」

と主題にしたのが、

ラーメンはエマが食べます。

という文です。

「ラーメンは」は主語ではありません。
この文の主語は「エマが」です。

② 着点を主題にする

ポイント

「に」で表される着点も主題にできる。
主題:着点
例:
エマがラーメン屋に行きます。

ラーメン屋にはエマが行きます。

もとの文では、

「ラーメン屋に」は行く先(着点)を表しています。

その「ラーメン屋」を、

「ラーメン屋について言うと……」

と主題にしています。

ここでは「に」を残して、

ラーメン屋には

とするのが自然です。

「ラーメン屋には」は主語ではありません。
この文の主語は「エマが」です。

③ 場所を主題にする

ポイント

「で」で表される場所も主題にできる。
主題:場所
例:
エマが体育館でテニスをします。

体育館ではエマがテニスをします。

もとの文では、「体育館で」は動作をする場所を表しています。

その「体育館」を話題として取り上げると、

体育館ではエマがテニスをします。

となります。

「で」はそのまま残り、

で+は → では

となっています。

「体育館では」は主語ではありません。
この文の主語は「エマが」です。

「が」「を」は「は」と一緒に使えない

ポイント

「が」「を」は「は」と並べず、「は」に置き換わる。
例:「が」「を」
・エマが → エマは
・ラーメンを → ラーメンは
となり、
× エマがは
× ラーメンをは
とは言わない。
例:「に」「で」
・ラーメン屋には
・体育館では
のように、格助詞+はの形にすることができる。

主題化すると……

・が → は
・を → は
・に → には
・で → では

「が」「を」+「は」にはならない。
一方、「に」「で」などは、格助詞を残して「には」「では」の形にすることができる。

④ 所有を主題にする

格助詞から主題にするものだけではありません。

こんな例も見てみましょう。

ポイント

「〜の〜」で表される関係の一方を、主題として取り上げることもできる。
主題:所有
例:
「らうめんさん」のチャーシューがおいしいです。

「らうめんさん」はチャーシューがおいしいです。

「らうめんさんのチャーシュー」では、

らうめんさん → チャーシュー

という所有・所属の関係があります。

その「らうめんさん」を話題として取り上げ、

「らうめんさんについて言うと、チャーシューがおいしい」

と表したのが、

「らうめんさん」はチャーシューがおいしいです。

です。

この文でも、
主題 → らうめんさん
主語 → チャーシュー
となります。

このように、「は」で主題にできるのは主語だけではありません。

主語だけでなく、目的語・着点・場所なども、話題にしたいものとして主題にすることができます。

だから、

🗝 主題は、主語とは限らない

ということなんですね。

1分で読める整理表

主語と主題の違い

観点格助詞「が」主題「は」
基本的な働き述語との関係で主語を表す何について話すかを示す
注目するもの文の構造話題・テーマ
述語との関係述語との関係で決まる述語がなくても提示できる
エマがテニスをします。ご注文は?

主題化の変化例

元の文主題化後の文主題が表す意味
エマがラーメンを食べますラーメンはエマが食べます目的語の主題化
エマがラーメン屋に行きますラーメン屋にはエマが行きます着点の主題化
エマが体育館でテニスをします体育館ではエマがテニスをします場所の主題化
らうめんさんのチャーシューがおいしいらうめんさんはチャーシューがおいしい所有の主題化

一発理解|主題「は」の図解まとめ

🗝 鍵カード

鍵:主題「は」の鍵

🖌 イラスト図解集

主題イラスト1

エマがテニスをします。

ご注文は?

主題:目的語

主題:着点

主題:場所

主題:所有

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