述語ってそんなに大事?格助詞との関係に注目

実は「①「は」主題編」の記事の時から、ずっと引っかかってることがあるんですけど…。
初歩的な質問かもしれないけどいいですか?

もちろんです。助詞の問題はややこしいので…

いいえ、それが、助詞の話じゃないんです。
格助詞の働きの説明の時に、やけに「述語」という言葉が出てくるなと思って。
「述語」って格助詞を決める時にそんなに重要なんですか?
主語の方が大事な気がするんですけど…。
【以下、「①「は」主題編」の記事より抜粋】
【格助詞とは…】
・9つある。「が、を、に、から、と、で、へ、まで、より」
・述語との関係を表す。
・名詞+格助詞の構成で、述語の意味を補っていく。

本当だ。
まるで「述語」の為に格助詞たちがいるような…。
述語だけで文は成立する?日本語の“高コンテクスト”な仕組み

その通り!
述語は、文の王様ですよ。

またまた、大げさな~。

本当ですよ。
だって、述語だけで文は成立するんですから。
これは日本語の特徴の一つと言えます。

えっ?

例えば、これ。

あっ。

これも。

ああっ。

こういうのも。

形容詞も名詞(+だ)も動詞も、みんな述語になるし、それ一つだけで意味が通じるのね。

文脈(コンテクスト)があれば、主語や目的語が省略されても意味が通じます。
これを「高コンテクスト」と言います。
つまり日本語は、文脈重視の「高コンテクスト言語」というわけです。

ふ~ん。
でも、言葉ってそんなものじゃないの?

普段、私たちはこの感覚に慣れていますが、述語だけでは伝わらないよっていう言語もあります。
その代表的なものが英語。絶対に主語が必要です。
英語は「低コンテクスト言語」です。
【コンテクスト(=文脈)】
✓ 日本語 → 高コンテクスト(主語や目的語の省略可)
✓ 英語 → 低コンテクスト(主語が必ずいる)
述語の必須成分とは?

そうは言っても、述語だけですべてOKというわけでもありません。
日本語の述語は、何の違和感もなく文が成立するための、格助詞を伴う必須成分を要求します。

述語が、格助詞を、要求する…?
何か大物感出てきた。

そうです。王様ですから。
たとえば、「食べる」という動作で考えてみましょう。
「食べる」を述語としたら、そこにはどんな情報が必要でしょうか。

うーんと、「何を食べるか」「誰が食べるか」はあった方がいいよね。

その通り。「食べる」に必須な情報は、主体と対象。
つまり、主体と対象であることを示す格助詞がついた名詞が必須なんです。
【食べる】の必須成分―主体、対象
エマが ラーメンを 食べる。

それなら「弟と」や「『らうめんさん』で」という情報も入れた方がいいんじゃない?

確かに、「食べる」に関する情報が増えると内容も深まりますね。
ただ、それらは「食べる」の成分ではありますが、必須ではありません。
【食べる】の任意成分―相手、場所など
エマが 弟と らうめんさんで ラーメンを食べる。

なるほど。
相手を表す格助詞「と」がつく成分は、述語にとって必須ではないわけだ。

必ずしもそうとは限らないですよ。
「結婚する」という動作を表す述語は、格助詞「と」がついた名詞(相手)を要求します。
【結婚する】の必須成分―主体、相手
ゴンが ハルカと結婚する。

それで言うと、「紹介する」という動作を表す述語は「~が ~を ~に」が必須成分になるね!
まずは述語を押さえよう!文の理解はここから始まる

述語が王様だというのも頷けるよ。

王様さえいれば、国としてのかたちは一応保てる。
でも、家臣という支えがあってこそ、その国に厚みや安定が生まれる。
文も同じで、述語さえあれば形式的には成立する。
でも、その他の成分の支えがあることで、深みや強さを持った文になる。

だからこそ、日本語を理解する時は、まず述語を押さえることが大切なんです。
【参考文献はこちら】
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