概要
視点 | 「へ」 | 「に」 |
---|---|---|
意味 | 方向(向かっている先) | 着点(到達点) |
イメージ | ➡が目的地に向かうがぼやける | ➡が目的地にぴったり届く |
例文 | カラオケへ行きます | カラオケに行きます |
ニュアンス | とりあえず向かっている | カラオケで何かしたい気持ちが強い |
使用動詞 | 行く・着く・いる 等 | 行く・向かう 等 |
助詞「へ」と「に」の違いって…

この違いって何ですか?

「へ」は方向で、「に」は着点を表すんだよ。

「へ」は方角、「に」は点!って感じだよね。
だいたい同じ意味だから、どちらもいいです。OKです。
どちらもOKです!は、本当にOK?

じゃあ、この違いを外国人学習者に教えたい場合はどうしますか。

えーっと…
小難しい助詞の用法をそのまま伝えるのは、やっぱりわかりにくいよね。

実際、私も「カラオケへ行きます」と「カラオケに行きます」の違いはパッとは答えられない…。
聞かれたら困っちゃうかも。

そう。結局、学習者が混乱しないように簡潔に伝えようとすると、
「だいたい同じ意味だから、どちらもOK」
って言いたくなりますよね。

うん。深く考えたことないや。
だって、違和感なく使えちゃってるからさあ。

そうです。
そして、きっと学習者が知りたいのも自然と使い分けているこの日本人の感覚の部分だと思うんですよね。
結局はどちらも「目的地」でしょ?

紛らわしいのが、どちらも「目的地」を表すという部分だと思います。
例えば、


あ、移動動詞を「着く」に変えると、「へ」の方は違和感があるね。

「着く」が「に」の着点の用法をわかりやすく表しているわけだ。

「に」は、移動の➡が目的地にぴったりとくっついているイメージです。
「に」がついている目的地の方は「ここで終わり!」感があります。

なるほど。
「椅子に座る」なんてまさにそうだよね。
違いをイメージしてみる

ねーねー、カラオケ、一緒に行かない?

うーん。
私の場合、「カラオケ『へ』行きませんか」の方は少し違和感があり。
経路も含め〈広い範囲の中の目的地〉へ向かう、という移動の方向に注目。

移動の矢印の先端は、目的地だけにしっかりはっきりと届いている。

誘う相手に伝えたいのはどちらの「カラオケ」か。

私が伝えたかったのは、「カラオケに行きませんか」の方です。
歌いたくて歌いたくてたまらないんだから!

というように、
話し手は自分の伝えたい方をきちんと選んでいるのではないかと思います。
「カラオケ」って、そもそも「場所」なの?

そうそう、助詞「に」の用法の中には「目的」の用法があるよね。

「子どもを迎えに行く」もそうですね。
「行く」目的が「子どものお迎え」です。

えっ。
じゃあ「カラオケに行きます」って「着点」じゃなく「目的」?
これ、結構悩みます。

そもそも、「カラオケ」って場所なのか?

でも、「今、カラオケにいるよー」と言った場合の「カラオケ」は場所ですよね。
(ちなみに、この「に」は存在場所を表す「に」です。)

場所(着点)としての「カラオケ」があり、事柄(目的)としての「カラオケ」もある。ということですね。

だから、「カラオケに行きます」は「カラオケへ行きます」より、その内容が含まれたイメージが強くなるのかもしれませんね。

それで言うと、「トイレへ行きます」と「トイレに行きます」も同じ感覚かも!
Special Thanks
今回のテーマ「カラオケへ行きます / カラオケに行きます」ですが、
感覚的にどんな違いがあると思うか、私の身近な日本人のサクラさんに(普段、日本語教育等に携わっていない日本語母語話者です。)に聞いてみました。
その回答は……

「へ」はなんか、カラオケが薄い!ぼやける!
「に」の方が濃い感じがする。
でした。とても参考になります!サクラさん、ありがとうございました。
【参考文献はこちら】
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