敬語とは何か?尊敬語・謙譲語の違いを主語で理解する【日本語教師向け・図解】

敬語とは何か?尊敬語・謙譲語の違いを主語で理解する【日本語教師向け・図解】 レシピ④敬語

この記事はこんな先生におすすめ

敬語=丁寧に言う形、で止まっていませんか?

FOR TEACHERS

✔ 尊敬語と謙譲語の違いをうまく説明できない
✔ 学習者に「どう違うんですか?」と聞かれると困る
✔ 「持ちますか?」のような文で主語があいまいになる
✔ 敬語を丸暗記ではなく整理して理解したい

 

1分で読めるまとめ版

敬語は「丁寧さ」だけでなく、主語を明確にする役割がある

〇 敬語に影響する要素は2つ
1.人間関係(上下親疎ウチソト
2.種類(尊敬語・謙譲語)

〇 主語の違いで整理する
尊敬語「お~になる」
→ 主語は相手(聞き手)
例:お持ちになりますか?=あなたが持ちますか

謙譲語「お~する」
→ 主語は自分(話し手)
例:お持ちしますか?=私が持ちましょうか

〇 「持ちますか?」の問題
主語が不明確(あなた?私?)
→ 誤解が生じやすい

●ポイント
☞ 敬語=丁寧さ+主語の明確化
☞ 尊敬語=相手/謙譲語=自分

 

◎ 敬語使用に影響する人間関係についての記事は以下をご参照ください。

親疎関係についての記事はこちら

ウチソト関係についての記事はこちら

上下関係についての記事はこちら

敬語って何のためにあるの?

敬語って何のためにあるのでしょうか。

丁寧にするため?

そう思われがちですよね。

でも実は…

☞ 敬語は、主語をはっきりさせる働きもあります。

日本語では「私が」「あなたが」といった主語は省略されがちです。

そのため、

「持ちますか?」のような言い方だけでは、
誰が持つのかが分かりにくくなることがあります。

では、敬語を使うとどうなるのでしょうか。

敬語で主語が見えるしくみ

敬語を理解するうえで大切なのが、「主語」という視点です。

日本語では主語が省略されることが多く、

☞ 「誰がその動作をするのか」が曖昧になりがちです。

では、敬語を使うとどうなるのでしょうか。

敬語は、人との関係によって形が変わります。

つまり、

同じ「持つ」という動作でも、

お持ちになりますか(相手)
お持ちしますか(自分)

のように、形が変わることで

☞ 「誰がその動作をするのか」が自然と見えてくるのです。

実例でわかる!敬語によって主語が見える場面

ちょっとこの場面を想像してみてください。

☞「持ちますか?」と言われたとき、あなたはどう受け取りますか?

私の通うリハビリ施設での一場面です。

患者はカゴに手荷物を入れて持ち歩きますが、
そのカゴは、自分で持つ場合もあれば、スタッフが持つ場合もあります。
つまり、
☞ 「誰が持つのか」が毎回変わる状況です。

このとき、スタッフがこう声をかけました。

①「持ちますか」では主語がわからない

持ちますか?

え? あ、はい…。

【① 持ちますか】
これは丁寧語ではありますが、尊敬語・謙譲語ではありません。
そのため、
☞ 「あなたが持つのか」「私が持つのか」がはっきりしません。

私は「自分が持つ」という意味で受け取りましたが、
相手は「持ちましょうか」と言ったつもりだったのかもしれません。

☞ 主語が省略されると、意図がずれてしまうことがあります。

ジェスチャーや声の調子で補えることもありますが、
言葉だけでは誤解が生じやすいのです。

②尊敬語「お持ちになりますか」は相手が主語

お持ちになりますか?

【② お持ちになりますか】
☞ 「あなたが荷物を持ちますか」という意味になります。

「お~になる」は尊敬語の形です。

尊敬語は、主語(動作をする人)を高める表現でしたね。

☞ つまり、この文の主語は「相手(聞き手)」になります。

 

はい、自分で持ちます。

③謙譲語「お持ちしますか」は自分が主語

お持ちしますか?

【③ お持ちしますか】
☞ 「私が荷物を持ちましょうか」という意味になります。

「お~する」は謙譲語の形です。

謙譲語は、主語以外の人を高める表現でしたね。

☞ つまり、この文の主語は「自分(話し手)」になります。

 

ありがとうございます。

お願いします。

敬語は会話をスムーズにする道具

敬語は、「丁寧にするための言葉」だと思われがちですが、

☞ 主語を明確にすることで、会話をスムーズにする道具でもあります。

丁寧+主語の明示で誤解を減らす

日本語では主語が省略されやすいので、
「誰がその動作をするのか」が曖昧になりがちですね。

でも、

敬語を使うことで、その主語が自然に見えてきます。

☞ その結果、誤解が減り、会話がスムーズになります。

学習のコツは「尊敬語=相手」「謙譲語=自分」

覚えることはたくさんありますが、

まずはシンプルに、

☞ 尊敬語=相手(聞き手)
☞ 謙譲語=自分(話し手)

ここを押さえるだけでも、
敬語はぐっと理解しやすくなります。

☞ 敬語は、「丁寧さ」だけでなく「主語を見せる仕組み」なのです。

1分で読める整理表

発話例敬語の種類主語意味
持ちますか?普通形不明確どちらが持つか、文脈・抑揚に依存
お持ちになりますか?尊敬語相手「あなたが荷物を持ちますか?」
お持ちしますか?謙譲語話し手「私が荷物を持ちましょうか?」

参考記事

「親疎関係」の記事はこちら

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「ウチソト関係」の記事はこちら

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